カワハラの、雑多な記録。

【絵本】「11ぴきのねことあほうどり」を読んだ3歳児の反応

      2019/06/19

絵本「11ぴきのねことあほうどり」より引用

馬場のぼる作の絵本「11ぴきのねことあほうどり」を3歳の息子に読んであげたところ、「私はもう死んでもいい」と口走るようになりました。

ちょっと待て。
3歳で死を考えるのは早すぎやしないか?

・・・まあ、本当のところは絵本にそういうセリフが出てくるので真似してるだけなんですが、3歳時に「死んでもいい」とか言わせるなんて、とんでもない絵本です。

いえ、最高に面白い絵本です。

問題の絵本「11ぴきのねこ」シリーズ

最高に面白い絵本ランキング、堂々の第1位を獲得した(私の中で)、「11ぴきのねこ」シリーズの中の1冊「11ぴきのねことあほうどり」に例の「わたしはもうしんでもいい」というセリフが出てきます。
詳しくは後ほど。

このシリーズ、私も嫁も、もちろん3歳の息子も大好きで、何回も繰り返し読んでいます。
登場するねこは、リーダーの「とらねこたいしょう」と、見た目がそっくりな10ぴきのねこ。
特に個別に名前はなく、特に個性があるわけではないようです。
人間は登場せず、ねこがトラックを運転したり、猫の街があったり、独自の世界観を構築しています。

この「11ぴきのねこ」シリーズ、はっきり言ってかなりむちゃくちゃな内容の絵本です。そこがまたいいんですけど。
ぶたの家を乗っ取ったり、崖の下で寝ている恐竜の子供めがけて岩を落とす罠を仕掛けたり、あほうどりの兄弟をまとめて丸焼きにする計画をたてたり、非道の限りを尽くします。
でも、たいていはうまくいかなくて、とほほな結果に終わるんですが、それがまたいいです。

こんな極悪非道なねこの絵本、子どもの教育的にどうなのかと思いますが、乗っ取ったぶたの家は台風で飛ばされ、結果的にぶたは助かり、恐竜の子とは結果的に仲良くなり、あほうどりには逆にコロッケを作らされたり、悪い計画にはそれなりの罰があるという、教訓的な面もしっかりとあります。

極悪非道なだけではなく、へんなねこを見返りなしで手伝ったり、善人な面もあります。
11ぴきのねこの行動理念は、一般的な善悪ではなく、面白そうなことに首を突っ込む、純粋な好奇心ではないかと思われます。あと、食欲も。

本物の猫も、置いてあるビニール袋や段ボール箱に入ったりと、好奇心旺盛なところがあり、11ぴきのねこもある意味、猫の生態をリアルに描いているとも言えます。

11ぴきのねこの絵柄について

色彩感覚が独特です。
空の色が、黄色だったのが次のページでは赤になっていたり(夕焼けというわけではないと思います)、気球の色がページによって変わったり。
息子が「なんで色変わってるの?」と聞いてきますが、そんなこと聞かれても分かんないので困ります。

シリーズ6作品の後半に出版された、「11ぴきのねことへんなねこ」「11ぴきのねこどろんこ」はねこ達がそれまでよりもスリムになっているように感じます。
私としては、初期の作品のずんぐりしたねこ達が可愛らしくて好きですけど。

1冊1冊の間隔が異様に長い

  • 11ぴきのねこ … 1967年
  • 11ぴきのねことあほうどり … 1972年
  • 11ぴきのねことぶた … 1976年
  • 11ぴきのねこふくろのなか … 1982年
  • 11ぴきのねこへんなねこ … 1989年
  • 11ぴきのねこどろんこ … 1996年

各作品、5年以上の間隔を開けて発刊されています。
他の作家の絵本はどんな感じか分かりませんが、長いですね。
1作目の「11ぴきのねこ」から、6作目の「11ぴきのねこどろんこ」まで29年もあります。

「11ぴきのねことあほうどり」の問題のセリフ


絵本「11ぴきのねことあほうどり」より引用

子供向けの絵本に「わたしはもうしんでもいい」という台詞があるというのが驚きですが、「11ぴきのねことあほうどり」にそのセリフが登場します。
コロッケ屋を始めた猫達ですが、店を閉めた後にやって来た、旅するあほうどりに余ったコロッケを振る舞ったところ、おいしいコロッケに満足したあほうどりが「わたしはもうしんでもいい」と口走ります。
死んでもいいくらい幸せという意味ですが、私も息子もこのセリフが気に入ってしまって、何回も言ってるうちに息子も覚えてしまったというわけです。

ねこたちの店にあほうどりがやって来た時、すでにねこたちは、丸焼きにして食ってやろうとたくらんでいましたが、この「しんでもいい」発言でさらにその計画に拍車がかかったのではないでしょうか。

「死んでもいいんなら、食ってもいいだろ」みたいな感じで。

滅多な事を言うもんじゃないですね。

作者・馬場のぼる氏について

「11ぴきのねこ」の作者は馬場のぼる。
詳しくは知りませんが、元々漫画家の人で、手塚治虫とも深い親交があったそうです。
2001年になくなっているので、もう11ぴきのねこの新作を見ることは出来ないのは、非常に残念です。
この人の墓がまたすごい。
機会があればぜひ参りたい。
これです。


http://portal.nifty.com/special05/05/16/4.htmより引用

11ぴきのねこがどーんとデザインされています。
墓の本体は奥ので、これ自体は墓じゃなくて石碑だと思いますが、非常に愛らしいですね。
墓場は暗いイメージがありますが、こんなのがあったら楽しい墓参りになりそうです。

まとめ

他にもいろいろ魅力がありますが、読んでみないと絶対に伝わらないと思います。
読んだことない方はぜひ読んで下さい。
子供の頃に読んだ方も、自分の子供に読んであげて、親子2代で楽しむのもありです。

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