カワハラ雑記

カワハラの、雑多な記録。

インクジェット3Dプリンターのサポート材を機種ごとに比較してみた

   

FDMやインクジェット(マテリアルジェット)方式の3Dプリンターでは、造形する形状によってはサポート材によって作られる「サポート」が必要になります。
今回は、インクジェット方式の3Dプリンターの3機種のサポート材について比較したいと思います。

比較した3機種で、サポート材の除去方法がそれぞれ全然違うのが面白いです。

関連記事
500万円前後の業務用3Dプリンター(インクジェット方式)を選定することになった

比較したのは次の3機種。

  • ストラタシス、Objet30 pro
  • キーエンス、AGILISTA-3200
  • 3D Systems、Projet MJP 2500plus

3Dプリンターのサポート材とは?

下からモデル材を積み上げるように造形していくと、オーバーハング部分ではモデル剤を支えるものがないため造形できません。

3dp_suport_01

例えばこんな形状を造形する場合。
(普通は太い方が下になるよう、上下逆にして造形すると思いますが)

サポート無し

サポートがない場合、、下から順に造形が進んで行って太い部分に差し掛かると、支えるものがないので造形できなくなります。
インクジェット方式の場合、液状の樹脂を噴射するので、図のようにびろーんと垂れ下がることはないと思いますが、どっちにしても造形不可能となります。

サポートあり

サポートが有る場合は、ちゃんと樹脂を載せられる場所があるので、ちゃんと造形できるというわけですね。

そのため、あらかじめ足場や台のようなサポートを形成しておき、その上にモデル材を乗せることにより造形します。

サポート材は最終的に捨ててしまう部分なのに、結構な値段がする!
もったいない!

造形する形状や、造形するモデルの向きによってサポート材の使用量を最小限に抑えることはできます。
そのへんは実際の運用の中で色々試しながら模索したいと思います。

サポート材は造形後は不要なため取り外して捨てるんですが、この除去方法が各社、各機種で色々違うんです。

まとめるとこんな感じ

メーカー 機種名 サポート除去方法
ストラタシス Objet30 pro ウォータージェットにより除去
キーエンス AGILISTA-3200 水に溶かして除去
3D Systems Projet MJP 2500plus スチームによる熱で溶かして除去

1つずつ見ていきましょう。

スポンサーリンク

Objet30 proはウォータージェットにより除去

ウォータージェットによる除去方法は、当然ながらウォータージェットの設備が必要になります。
ウォータージェットの装置単品の価格は約40万円。

3Dプリンタ一式で数百万円する中の40万だと、たいして高くないように感じてしまうが、普通に考えたらめちゃくちゃ高いぞ。
中古の軽自動車が買えてしまう値段です。

ウォータージェットは水を高圧で噴射し、その勢いでサポートを除去すると言う方法。
高圧洗浄機みたいなものですね。
もちろん、水が飛び散らないように、窓のついた箱の中に手を突っ込んで作業を行います。

ウォータージェットの装置は給水、排水の配管工事も必要です。
と言っても蛇口にホースを繋げる、程度でもokみたいなので、そこまで大掛かりじゃないですけど。

でも、はじめこんな風にサポートを除去すると知らなかったので、これを聞いた時は正直、

「すごい面倒くさそう」

と思ってしまいました。
しかも、水の勢いでモデルの細い部分が壊れてしまうこともあるそうです。

機種選定の始めの段階ではObjet30 proが有力でしたが、これを聞いて一気に冷めてしまいました。

AGILISTA-3200は水に溶かして除去

AGILISTAは、水につけておいたら勝手に溶けてくれると言う手間いらずなサポート材。
水溶性サポート材は石鹸のような素材で、水に溶けるようになっています。

  • 実際の作業手順としては、指やヘラで大雑把に除去(かなり柔らかいので簡単に取れます)
  • しばらく水につけておく

これだけです。
ウォータージェットを使用する方法に比べたら、だいぶ楽そうですよね?

でも、水につけておくのも結構時間がかかります。
造形したものを今すぐに使いたい!
そんな時は、ブラシとかで念入りにサポート材を除去すればすぐに使えます。

  • すぐに使いたい時はブラシやヘラなどを使い手作業で除去
  • 手間を掛けたくない、大量に処理しないといけない時は、水につけて放置

どちらにも対応できるので便利そうです。

サポート除去のために造形物を付けておく槽ですが、これも3Dプリンタを買うときの一式に含まれています。
ステンレス製の容器で、水は毎回交換する必要はなく、もう溶けない!と言う限界まで使うことが出来るとのこと。

造形の頻度によりますが、半年とか1年に1度交換でも問題ありません。

このサポート材が溶け込んだ水は、廃液として処理する必要があり、下水に流したらダメです。
流したら流れていくでしょうけど、企業の場合はISO14001とか色々あるでしょうから、ここはきちっとしたほうが良さそうです。

Projet MJP 2500plusはスチームによる熱で溶かして除去

スチームの熱で溶かす方法ですが、サポート材がロウソクのロウのような材質で出来ています。
60℃のスチーム装置に入れておくと、サポート材が溶けてきて除去できるという流れです。

入れておけば溶けるので、手間はかからないですが、このスチームだけじゃ完全に落とすのは難しいそうです。
そこで完全に落とすために登場するのが「サラダ油」。
なんか、サラダ油に漬け込むと溶けるらしいです。

でも、当然サラダ油でベトベトになってしまいますよね。

それを落とすために、超音波洗浄機に水と中性洗剤を入れて洗浄するとgood!
だそうです。

…それって、面倒くさくない?

スチーム装置は3D Systemsの純正がありますが、超音波洗浄機どっかから適当に調達しましょう。

また、60度程度の低温のスチームですが、造形した樹脂の熱変形温度はクリアーで54℃、黒だと48℃となっています。(試験条件ASTM D648,0.45MPa)
54℃でフニャフニャってわけではないですが、柔らかくなり始めてるということは確かです。

つまり、60℃のスチームでも、造形物の細い部分とかがヘタしたら曲がるということです。
曲がったりしたらかなりガッカリです。

まとめ

この3機種の中では、水溶性のサポート剤を採用しているキーエンスの「AGILISTA-3200」が一歩リードしているように思います。

Objet 30proはウォータージェットでの除去ですが、上位機種の「Objet Eden260VS」は水溶性サポート材が使用可能です。
こちらも検討してみてはいかがでしょうか。

関連記事
500万円前後の業務用3Dプリンター(インクジェット方式)を選定することになった

スポンサーリンク

 - その他