カワハラ雑記

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インクジェット3Dプリンター造形物の強度は?造形サンプル比較

   

  • ストラタシス「Objet30 pro」
  • キーエンス「AGILISTA-3200」
  • 3D Systems「Projet MJP 2500plus」

この3機種のインクジェット方式3Dプリンタで造形したサンプルの強度や見た目がどれくらいあるかを比較してみました。

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インクジェット方式の3Dプリンタの購入にあたり、造形物の強度がどの程度あるのかも気になります。
3Dプリンタで作ったものはすぐに割れたりするというイメージがありますが、治具でも使いたい場合はある程度の強度が欲しいところ。

強度と言ってもいろいろある

強度と一言に言っても、何を基準にするかで全然意味が違ってきます。
「硬い」素材と「柔らかい」素材があったとしても、硬いほうが強度があるとは一概には言えません。

硬い = 曲がる前に割れる
柔らかい = 割れる前に曲がる

とイメージして貰えればいいかと思います。

求めるのは、普通のプラスチック程度の硬さがあって、曲げてもすぐに割れたりしない靭性(粘り強さ、柔らかさ)を兼ね備えたものです。
結論から言うと、インクジェット方式の3Dプリンタで出力した品物でこの条件を満たすものは存在しません。
やっぱり普通のプラスチック(ポリカとか)に比べるとはるかに折れたり割れたりしやすいです。

改めて各機種で使用できる材料を見てみると下記の通りです。

ストラタシス Objet30 pro

  • 硬質不透明ホワイト(VeroWhitePlus)
  • 硬質不透明ブラック(VeroBlackPlus)
  • 硬質不透明ブルー(VeroBlue)
  • 硬質不透明グレー(VeroGray)
  • 透明(VeroClear)
  • 耐熱性材料(RGD525)
  • ポリプロピレンライクEndur(RDG450)
  • ポリプロピレンライクDurus(RDG430)

キーエンス AGILISTA-3200

透明樹脂(AR-M2)
耐熱樹脂(AR-H1)

3D Systems Projet MJP 2500plus

  • 硬質白(VisiJet M2RWT)
  • 硬質ブラック(VisiJet M2RBK)
  • 硬質透明(VisiJet M2RCL)
  • エラストマー(ゴムライク)ナチュラル(VisiJet M2ENT)
  • エラストマー(ゴムライク)ブラック(VisiJet M2EBK)

今回は、同じ3Dデータを各社に渡してそれぞれ造形サンプルを作ってもらいました。

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Objet 30proの造形物の強度

Objet30 proのポリプロピレンライク(RDG450)で作ってもらったんですが、なんかふにゃふにゃなんです。
板厚1mm程度の部分がある箱状の物体を造形してもらったんですが、その薄板部がなんかやけに柔らかい。

これは、アカンやつやろ!

と思わず笑ってしまいそうになりましたが、何日かたった今では最初よりは固くなってきました。
薄板部がないサンプルも見せてもらいましたが、こちらはしっかりててフニャフニャじゃなかったです。
柔らかいということは、柔軟性があって割れにくいということにも繋がるので、悪いことではないですけどね。

それにしても、なんであんなにふにゃふにゃだったんだろう。

硬質不透明の樹脂でもサンプルを作ってもらいましたが、こちらはちゃんと固くてしっかりしてました。
硬いと言うことは、言い換えれば脆いということです。

出来上がった造形物を部長に見せた時のこと。

私「こんなん出来ましたけど!」

部長「へー、結構キレイだね。思ったより頑丈そうだ」

ぐいぐい。(指で押してる)

バキッ

私「ちょっと何やってるんすか!」

部長「・・・」

みたいなことになります。

AGILISTA-3200の造形物の強度

AGILISTAはキーエンスのサイトやカタログを見ても分かるように、治具製作にも使える、と言うアピールをしています。
つまり、そんな簡単に割れないことが期待できます。

営業の方が持って来た造形サンプルを見せてもらいましたが、樹脂の弾力を利用して2部品を組み立る「スナップフィット」も可能とのこと。
あまりに造形物が脆いと、これやるとフックが割れてしまうんですよね。
それが問題なく出来るということは、かなり期待できそうです。

実際、こちらが渡したデータで製作してもらった造形サンプルも、結構しっかりしてる感じでした。
フニャフニャした感じもなく、適度な硬さがあります。
それでいて、そんなに簡単に割れなさそうな粘りも感じられます。

部長「さっきのよりなんか割れにくそうだね」

私「そうでしょ。治具なんかにも使えると思いますよ」

ぐいぐい。

ばきっ

部長「・・・」

私「・・・」

やっぱり、割れるものは割れるようです。

Projet MJP 2500plusの造形物の強度

ちょっと触った感じなんかすぐに割れそうに感じました。
他の何人かに見せてもやっぱり「なんか割れやすそう」と言う意見が。

もちろん部長にも見せてみました。

部長「これ、なんか弱そうだね」

部長「・・・」

私「・・・」

なんとか破壊されずに済みました。
押したらすぐに割れそうと言うのを本能的に感じて頂けたのかもしれません。

そもそも、Projet MJP 2500plusの営業の方に、
「治具製作にも使いたいんですよねー」
と話したところ、
「治具はちょっと…、それなら強度的に優れるFDM形式の3Dプリンタの方がいいですよ」
と言ってました。

なにその弱気な態度。

違う言い方をすれば、すぐに割れるかもしれないってことですよね。

強度を数値で表すために測定してみる

感覚的にはProjet MJP 2500plusが一番割れやすそうですが、本当にそうでしょうか。
仕事でも「なんとなくこっちのほうが良さそう」とかいい加減なこと言ってられませんよね。
測定して数値を出さないと、説得力がありません。

と言うことで、3機種で造形した同じ形状のサンプルをこんな方法で測定しました。

IMG_1468

IMG_1470

プッシュプルゲージでぐいぐい押して、どれくらいの力で破壊されるかを測ります。
いい加減な試験方法ですが、なにか違いが見えてくるはずです。

その結果がこちら!

機種 使用樹脂 破壊時の力
Objet 30pro 透明(VeroClear) 2500gで割れず
Objet 30pro ポリプロピレンライクEndur(RDG450) 2000gで割れず
AGILISTA-3200 透明樹脂(AR-M2) 2500gで割れず
Projet MJP 2500plus 硬質透明(VisiJet M2RCL) 1500g

なんと、Projet MJP 2500plus以外は割れることなく曲がっちゃって、これ以上測定できないという結果に。
Objet 30proのポリプロピレンライクに2000gくらいしか力を加える事が出来無かったということは、特に柔らかくて変形しやすいということを意味します。
想像以上に柔軟性があるようですね。

でも試験後に、反対方向に軽く力を加えただけで割れてしまいました。
力を加えたことによって疲労したみたいです。

唯一割れたのがProjet MJP 2500plus。
触った感じ割れやすそうと思ったけど、本当に割れやすかった。

あと、造形時の方向によって強度が大きく変わります。

sekisou-houkou

層と層の間は剥がれやすい(割れやすい)ので、この図で言うと(2)の方が明らかに弱そうだというのは理解できると思います。
今回の測定は、(2)の向きで造形したサンプルにて行いました。

一応(1)の造形方向のサンプルもあったので測定したところ、同じ力を加えても明らかに曲がりが少なかったです。
プッシュプルゲージで測定できる限界の約5kgを加えても割れませんでした。

まとめ

今回比較した樹脂を硬い順に並べると次のようになります。

  1. Projet MJP 2500plus,硬質透明(VisiJet M2RCL)
  2. Objet 30pro,透明(VeroClear)
  3. AGILISTA-3200,透明樹脂(AR-M2)
  4. Objet 30pro,ポリプロピレンライクEndur(RDG450)

硬い = 割れやすい
とも言えますので、下に引くほど割れにくくなります。

使う目的によってどちらが優れているとも一概には言えませんので、使用する目的によって機種を選択すると良いかと思います。

Objet 30proは硬質な樹脂と柔らかいポリプロピレンライク両方使えるので、柔軟な運用ができるはずです。

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