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【3Dプリンター】造形方式によるランニングコストの違い比較

   

3Dプリンターを買おうと検討している場合、材料費を含めたランニングコストがどれくらいかかるか気になりますよね。
本体がいくら安くても、ランニングコストがバカ高いと後で困ってしまいます。

家庭用のFDM方式と光造形(DLP)方式、ついでに業務用インクジェット方式でのランニングコストを比較してみたいと思います。

100gの造形物を3Dプリント時のランニングコスト比較

いきなりですが、100g程度の造形物を3Dプリントした場合の、各方式のランニングコスト比較表です。

3Dプリント方式 材料 [円/kg] 材料(サポート材) [円/kg] 無水エタノール
(洗浄用)
ビニル手袋 キムワイプ 合計 想定条件
FDM 200 200
光造形 260 150 22 20 452 無水エタノール100g使用
インクジェット 4,000 1,200 22 20 5,242 サポート材30g消費

材料と、洗浄のための後処理に使う消耗品の価格となります。

定期的に交換が必要となる部品等は含んでいません。
3Dプリンターを動かすための電気代も含んでいません。

想定する条件によってこの金額は結構変わってくると思いますが、感覚的にはこのランニングコストの価格差は妥当なとこじゃないでしょうか。

FDM方式がずば抜けて安く、光造形(DLP)は倍くらい、業務用機種になると金額の桁が変わってきます。
業務用のインクジェット方式は実際の造形物となる「モデル材」と造形時にモデルを支えるための「サポート材」という2種類の材料を使用します。
どちらもなかなかのお値段です。

材料、消耗品のコスト比較

通常のプリント時に使用する材料、後処理の洗浄などに使用する消耗品のコスト比較です。

3Dプリント方式 材料 [円/kg] 材料(サポート材) [円/kg] 無水エタノール
(洗浄用)
ビニル手袋 キムワイプ
FDM 2,000
光造形 2,600 4L 6,000円 22円/組 2円/枚
インクジェット 40,000 40,000 22円/組

FDM方式は材料以外にほとんど消耗品はありませんが、光造形(DLP)方式は造形物の洗浄が必須なので、無水エタノールやIPAが必要になります。
水洗いできて無水エタノール等が不要な「水洗いレジン」という材料もあり、洗浄の手間も軽減できますが、若干割高です。

無水エタノールは4Lで6000円ほどですが、IPA(イソプロピルアルコール)は18L 7000円ほどと、だいぶ安く入手可能です。
ただし、毒性や、廃棄時のことを理解しておく必要があります。

FDM方式のランニングコスト

FDM方式3Dプリンターのランニングコストをもう少し細かく見てみましょう。
家庭用の廉価な機種の場合となります。

  • 想定機種 Creality Ender3 (実売価格 約2.5万円)

通常の造形に必要なコスト

材料 (PLA) 1kg 2,000円~3,500円

通常の造形に必要なランニングコストはほぼ材料代のみです。
(電気代は除く)
他の3Dプリント方式のように、造形後の後処理に薬品などを使わないため、そういったコストはあんまり必要ありません。

Ender3は外形1.75mmのフィラメントであればメーカーを問わずたいてい使えますが、3Dプリンターの機種によってはフィラメントがカートリッジ状になっていて、その機種専用のものを購入する必要があります。
選択肢が狭くなる分、価格も割高となります。

その他の消耗品

頻繁に交換するわけじゃないですが、消耗したら交換が必要な部品がいくつかあります。

ノズル 100円/個~
PTFEチューブ 680円/m
ベッドのマグネットシート 2,500円~

ノズルが詰まってフィラメントがスムーズに出なくなると、交換が必要です。

エクストルーダーからノズルまでの、フィラメントの通り道となるPTFEチューブも、熱により劣化したりするので、長期間使うと交換が必要になります。

ベッドのマグネットシート(ビルドプレート)も、くり返し使うと劣化したり、ノズルの高さ設定をミスってシートが削れてしまうと、交換が必要になります。

光造形(DLP)方式のランニングコスト

光造形(DLP)方式は、FDM方式に比べて材料が少し高いです。
DLP方式の最も廉価なクラスの機種での造形コストを詳しく見てみます。

通常の造形に必要なコスト

材料 (レジン) 1kg 2,600円~5,000円
洗浄用アルコール類 エタノール4L 6,000円、IPA 18L 7,000円
ビニル手袋 22円/組
キムワイプ 2円/枚

FDM方式と比べて、材料が少し高い上に、造形後の洗浄が必須のため、洗浄用のアルコール類が必要です。
IPA(イソプロピルアルコール)が安価ですが、廃液の処理や有害性から避ける人もいるようです。

レジンが直接肌に触れるのも良くないため、ビニル手袋やゴム手袋の使用が推奨されます。

洗浄時に造形物を拭いたりするのにキムワイプやウエスも必要です。

インクジェットのランニングコスト

家庭用のFDM機やDLP機と比べて、業務用のインクジェット方式3Dプリンターとなると、ランニングコストの桁が一つ違ってきます。

  • 想定機種 キーエンス Agilista (実売価格 約600万円)

通常の造形に必要なコスト

材料 (モデル材) 2.5kg 約10万円
材料 (サポート材) 2.5kg 約10万円
ビニル手袋 22円/組

材料はメーカー純正品以外使用不可でして、かなり高額です。

プリント後の造形物の扱いにビニル手袋もあったほうが良いですが、材料の値段に比べたらビニル手袋の値段なんて無視できるレベルですね。
どんなに小さいものでも、一度プリントすると数千円分の材料を消費します。

保守費用

保守費用 50~90万円/年

 

ランニングコストとして必要なのは材料費だけではなく、3Dプリンターのメンテナンス等の保守費用も必要になってきます。
3段階ほどの契約内容があり、高額になるほど補償される消耗品のカバー範囲が増えます。

保守契約をしていると専門のサービススタッフが年に2回来てくれて、期待のチェックや内部洗浄などを実施します。

保守契約をしないという選択肢もありますが、通常は契約するものと考えておいたほうが良いでしょう。

その他方式は、3Dプリントサービスの価格差が参考になる

その他の業務用の3Dプリンターの材料費の価格差も気になりますが、3Dプリントサービスを提供している会社の材料単価が参考になります。

例えばDMM makeの素材一覧では各樹脂の1cm^3あたりの価格が記載されています。

これを見たら「Agilistaはやっぱり高い部類だなー」とか「金属3Dプリントはめっちゃ高いぞ!」とかなんとなく分かります。

材料費や後処理費用、諸々ひっくるめての単価と思いますので、純粋な材料費の比較ではないですが、一つの参考にはなります。

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