カワハラの、雑多な記録。

設計者必携!機械設計製図便覧の内容や活用方法紹介

   

機械系エンジニア必携の書である「機械設計製図便覧」。
昔から機械設計者に愛用者が多いことで有名な本です。
本と言っても、サイズ感や風貌は国語辞典みたいな感じ。

機械設計製図便覧ってどんな内容?役に立つの?と、買おうか悩んでいる人は、この記事を読めばどんな内容で、どのように活用すればよいかが分かります。

結論としては、「機械設計者なら持ってたほうが良い」です。

機械設計製図便覧とは?

正式な書名は「JISにもとづく 機械設計製図便覧」。
著者は大西 清氏で
2021年11月に発売された「第13版」が最新で、現在も不定期的に新版が出版され、JIS規格の改定に対応しています。

機械設計製図便覧の歴史として、初版発行はなんと1955年!
70年近くも前です。

機械設計や機械製図に関するJIS規格を中心に構成されていますが、機械設計者が実務を進める上で必要な情報が網羅されています。

機械設計製図便覧はどんな内容?

機械設計製図便覧の目次は次の内容となります。
目次を見れば、その本の大まかな内容が分かりますね。

  • 1章 「諸単位」
  • 2章 「数学」
  • 3章 「力学」
  • 4章 「材料力学」
  • 5章 「機械材料」
  • 6章 「機械設計製図者に必要な工作知識」
  • 7章 「幾何画法」
  • 8章 「締結用機械要素の設計」
  • 9章 「軸、軸継手およびクラッチの設計」
  • 10章 「軸受の設計」
  • 11章 「伝動用機械要素の設計」
  • 12章 「緩衝および制動用機械要素の設計」
  • 13章 「リベット継手、溶接継手の設計」
  • 14章 「配管および密封装置の設計」
  • 15章 「ジグおよび取付具の設計」
  • 16章 「寸法公差およびはめあい」
  • 17章 「機械製図」
  • 18章 「CAD製図」
  • 19章 「標準数」
  • 付録「各種の数値および資料」

目次を見て分かるように、単位や数学などの基礎に始まり、材料力学や工作法等の機械設計の基礎知識、軸受やねじ等の機械要素、治具設計等のより実践的な内容と、多岐にわたります。

ベテラン設計者ほど愛用している印象

私の周りの、高い設計力があると言われていたベテラン設計者は、揃って機械設計製図便覧を信頼していました。
なにかのデータの信憑性が怪しいときはよく、「便覧みた?」と聞かれたものです。

ベテランが愛用しているということは、それだけ機械設計に必要な情報が網羅されているということです。今はベテランじゃなくても、ベテラン設計者が設計知識の何を重要視しているかが、機械設計製図便覧を見れば見えてきます。
そういう意味で、機械設計初心者にもぜひ、手元に置いて貰いたい一冊と言えます。

機械設計製図便覧の活用方法

その都度ネットで検索していたら時間もかかる
「まず最初に機械設計製図便覧を確認する」というルールを作る
場合によってはネットで検索したほうがすぐに答えが分かる場合もあります。
しかし機械設計製図便覧を繰り返し使うことで、どこに必要な情報があるかなんとなく分かってきます。
こうなれば、必要な情報にたどり着く時間が短くなってきます。

ある程度信用できる情報源として

例えば軸と穴の「はめあい」において、精級のガタのない可動あるいは位置決めとしたい場合、よく使われるのがH7の穴に、g6の軸と言う組み合わせ。
このような情報はネット上にも多く転がっていますが、「その設計の根拠はなに?」と聞かれたときに「ネット上の情報を拾ってきました!」では相手は納得してくれないかもしれません。

「機械設計製図便覧の情報を参考にしています」とか「JIS規格で規定されています」とか答えられた方が、おそらく納得してもらいやすいですよね。
このように、機械設計製図便覧に掲載されている情報は、JISを基本としているだけあり、ある程度信頼できるとみなせます。
そういった情報源として、機械設計製図便覧を活用することが出来ます。

機械設計製図便覧の具体的活用方法

その他、機械設計製図便覧の具体的な活用方法をまとめてみました。

  • 鋼材の降伏点の確認
  • M5の六角穴付きボルトの頭の直径寸法はいくらだったかな?
  • 溶接部の強度計算方法
  • はめあい公差の確認
  • 図面の幾何公差の書き方
  • 代表的な樹脂材料の特徴と用途例
  • ベアリングの呼び番号と寸法の確認
  • はりのたわみ等材料力学関連の計算式確認
  • 断面二次モーメントの計算方法

あくまで一例ですが、このような確認等に機械設計製図便覧が活用出来ます。

数学や力学をこれ1冊で勉強するのには向いていない

機械設計製図便覧は幅広い知識が網羅されていて、数学や力学の公式なども載っています。
しかし、例えば材料力学を勉強したことがない人が、機械設計製図便覧だけをみて出来るようになるか?と言うと、それはちょっと難しいでしょう。

あくまで、知っている人が確認のために使うのが正しい利用方法かと思います。
ハンドブックであり、教科書ではないのです。

逆に、自分の知らない知識が機械設計製図便覧に載っていたとしたら、その内容をネットやその分野の専門書で調べて学習する、と言う利用方法も考えられます。

書き込むために自分用に1冊用意しておいたほうがいい

機械設計製図便覧を使い込んでいる人は大抵自分用に一冊持っていて、インデックスをつけたりして必要な情報をすぐに引き出せるようにしています。
ページ数がとにかく多いので、買ったままの素の状態だと必要な情報にすぐアクセス出来ないためです。
ページ番号も、「8-34(第8章の34ページ目の意味)」みたいに通し番号じゃないので全部で何ページあるのかもよく分かりません。

機械設計製図便覧に必要な情報を自分で書き込む人も多いです。
書き込むことで、「前回は何を使ったんだっけ?」と思い出すことが出来て、効率的に設計業務を行うことが出来ます。
書き込むためには、会社の共用のものじゃまずいので、自分用に1冊持つことをおすすめします。

購入はAmazonで!アウトレット品がお得

機械設計製図便覧はその辺の本屋でも売っていると思いますが、Amazonで買うのがおすすめ。
定価は4500円くらいですが、Amazonでは稀にアウトレット品が出回っていて、私は半値で購入したことがあります。
表紙にダメージあり、とか説明がありましたが、「???どこに傷が?」と居う状態でした。

アウトレット品はめったに見つからないですが、自宅に送料無料で届けてくれるし、本屋に買いに行って売ってなかった!ってなると徒労ですし。

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実は機械設計製図便覧にはサイズの大きい「ワイド版」があります。
通常は縦182mm程のB6サイズですが、一回り大きい縦257mmのB5サイズなので、目に優しくなっています。
これを持っていると職場の同僚にも「でかっ!」と驚かれること請け合いです。

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