カワハラの、雑多な記録。

メーカーから機械設計会社へ転職する人への注意点

      2023/02/18

私は中小メーカーの設計者から、機械設計会社の設計者へ転職したことがあります。
同じ「設計者」とは言え、両者の仕事は結構違う点が多いなと感じました。
私のようにメーカーから機械設計会社への転職を考えている人がいたら、この記事を読んで違いを理解しておくと後悔も少ないかと思います。

自分の作業工数を把握しておくといいよ

メーカーから機械設計会社に転職してきた人で苦労するのが、工数を把握できてないこと。
つまり、この程度の詳細設計をするのに何時間かかって、図面を1枚書くのに何時間かかるかを把握出来ているか?という事です。
メーカーで設計をしていると、自分の作業工数をあまり意識してない人が多いです。

なぜ作業工数を把握出来ないといけないかと言うと、機械設計会社では客先の依頼を受け、見積もりを作成して提示する必要があるからです。
見積もり金額 = 作業工数(時間) × 工数単価 となります。
作業予定内容より、作業工数を見積もり、その金額にお客さんが納得して初めて受注できます。

もしも作業半ばを過ぎて工数が足りない・・・、となってもお客さんに「すみません、ちょっと工数足りないんで追加で請求させてもらってもいいですか?」なんて、余程のことがないと認められません。

自分の作業工数を把握し、正確な見積もりを出せることが、機械設計会社の設計者として非常に重要なわけです。
機械設計会社にとって作業工数の管理は収益に直結するので、かなりシビアに考えられています。

今メーカー勤務で機械設計会社へ転職を考えているのなら、まずは図面1枚書くのに何分かを予想し、実際にかかった時間と比較することから初めてはいかがでしょうか。

各々の売上が数字で出る。営業マンみたい!

私がいた機械設計会社では、各設計者個人ごとの売上金額が毎月出ていました。
この成績はボーナスなんかにも多少反映されます。
と言っても、どんな案件を自分が担当することになるかは運やタイミングもあり、金額の大きい仕事が自分のとこに回ってくるかは分かりません。
自分が作業する分だけじゃなく、他のメンバーの分の仕事も受注できたらそれもポイントになります。

ドラマで、課の営業成績が誰がトップで、みたいなシーンあるじゃないですか。あんな感じ。
機械設計会社の設計者は、設計者でもあり、営業マンでもあるんです。

メーカーで設計者をしていると、自分の作業がどれほど売上に寄与したか直接分からないことが多いですよね。
自分が設計をした後、試作をして評価試験をし、部材を手配し、工場で生産し、それが売れて初めて会社にお金が入ってきます。
設計してからお金になるまでが長いんです。

機械設計会社の場合は、納品物は設計データや図面なので、設計 → 即納品 → 問題なければ即売上!と、早いサイクルとなります。

お客さんとの直接のやり取りが多い。コミュ力があったほうが有利

機械設計会社はお客様あっての商売です。
いや、それはどの商売もそうなんですが、メーカーの設計者の時よりお客さんとの距離が近いと感じます。

会社にもよると思いますが、私がメーカー勤務の時は我々設計者とお客さんの間には営業がいました。
もちろん設計者とお客さんが直接やり取りもするんですが、基本的には営業が話をしてくれます。

一方機械設計会社勤務の時は、間に営業はおらず、設計者とお客さんは直接やり取りするのが基本でした。
見積もりの作成や提示、打合せ、作業完了後の請求まで設計者が行います。

事務所内で請負作業をしている時、お客さんとのやり取りはマイクロソフトのコミュニケーションツール「Teams」を使うことが多かったです。
画面共有で3Dモデルや図面を見せながら音声通話で打合せする形です。

お客さんからの問い合わせなどで、事務所の電話もバンバン鳴ります。
私は電話は苦手なので、この環境は正直あまり好きじゃなかったですね。

このような環境なので、メーカーの設計者よりも機械設計会社の設計者の方がコミュ力があったほうが苦労せずに済むかも知れません。
人と話すのが好きって人は、機械設計会社が向いているかも知れません。

客先に派遣されることがある

機械設計会社と言っても、営業形態がいろいろあるかと思いますが、大きく分けて「請負」と「派遣」があります。

「請負」は客先より依頼を受け、自社の事務所にて設計作業を行い、図面やデータを納品します。

「派遣」はその名の通り、客先へ設計者を派遣します。
派遣先へ入ることを「入業(にゅうぎょう)」と呼んでいました。

派遣先企業の名刺も支給され、一見すると派遣先企業の社員と見分けが付きません。
派遣先企業の社員でも「え、あなた派遣だったの?うちの社員かと思ってた!」みたいなこともあります。

派遣される企業の場所によっては、自宅の引っ越しが必要なこともあります。
私がいた会社では嫌なら入業を断ることもできました。仕事は派遣だけじゃなく、事務所内の請負もありましたしね。
でも派遣しかやってない設計会社や、断りにくい雰囲気の会社もあることでしょう。

希望に沿わない何処かに派遣される可能性がないか、面接時にしっかり確認しておきましょう。
私は家族もいて引っ越しは出来なかったので「家から通えないところへの派遣は無理」と面接時にはっきり言っていました。
最初に言っとかないと、後でトラブルになると困ります。

機械設計会社での設計内容は限定的なことも多い

新製品の企画段階から参画する、なんてことは比較的少ないです。
既存装置をマイナーチェンジしたいので、設計を依頼する、みたいな内容も多いです。
依頼者となる各種メーカーなどの思惑としては、マイナーチェンジに伴う細かい設計や図面作成は外注化して、自社の正社員はプロジェクト全体の管理をさせたい、といったところでしょうか。
自社の社員の数も限られているため、図面作成などすべての作業を社員でする余裕がありません。

このような枝葉の作業が続いたときにモチベーションが維持できるか、一度考えてみたほうが良いでしょう。
「枝葉の作業とは言えいろんなメーカーの案件に携われて楽しい!」と思えるのか、「こんな誰でもできる作業じゃなくて、もっとクリエイティブな仕事がしたい!」と思うのかは人それぞれです。

もちろん、構想設計段階から設計会社に丸投げするようなメーカーもあります。
案件によっては自身のクリエイティビティを思う存分ぶつけられる可能性もありますよ。

まとめ

今すぐ転職を考えてなくても、転職エージェントを利用してキャリアアドバイザーに今後のキャリアを相談するのも一つの手です。
転職エージェントはいくつもありますが、技術系エンジニアに特化したものとして
メイテックネクストなんかが有名です。

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