映画「STAND BY ME ドラえもん」街の不自然な未来化の原因を考察(妄想)する
2019/06/24
フル3DCGの映画「STAND BY ME ドラえもん」を拝見して、一人のドラえもん好きとして思ったことをグダグダ書きます。
特にのび太が大人になって世界が不自然なほど未来過ぎたので、その辺の理由を妄想したりしてます。
ドラえもん史上初めての3DCG作品
ドラえもん初の3DCG作品ということで、2014年に公開されかなり話題になった「STAND BY ME ドラえもん」。
この前地上波初登場ということで、テレビでやってたのを見ました。
この映画は、子供が見たいというので実は映画館で見ているので、見るのは2回目です。
私は子供の頃からドラえもんが好きで、てんとう虫コミックスを全巻揃えているくらい好きでした。
単行本を揃えている人から見た、今回の映画は、どのエピソードも「見たことあるなあ」って感じです。
特に有名な原作のエピソードを厳選して映画にしているので、まあ、当然なんですが。
「STAND BY ME ドラえもん」を初めてみた時も、初めて見たのに結末の分かっている映画を見ているような、そんな感覚でした。
「泣ける」という意見も多いですが、そんな感じで見た私は、どうなるか分かっているだけに「泣ける程でもない」という感想。
そもそも映画とかドラマを見て泣いたことがないんですけどね。
では、面白くなかったのか?と言うと、とんでもない。
かなり楽しんで見ることが出来ました。
私が楽しんだのは主に、「どのようにドラえもんの世界を3DCGで再現しているのか?」という点。
一言で言えば、映像を楽しんだと言うことです。
グッと来た映像ランキング ベスト3
ということで私がグッと来た映像ベスト3です。
3 初めてタケコプターをつけたのび太が、街を暴走するところ
2 14年後の未来で、大人のび太が運転する車を、タケコプターで追いかけるところ
1 冒頭の、セワシとドラえもんがタイムマシンでやってくるところ
初めてタケコプターをつけたのび太が、街を暴走するところ
リアルに再現された、現実感のある町並みが印象的。
作品の舞台となる街は、1970年台をイメージして作られたらしいんですが、この街をのび太が疾走するさまは必見です。
この迫力は3DCGじゃないと難しいんじゃないでしょうか。
このシーンを見ただけでも、映画館に来てよかったと満足してしまいました。
14年後の未来で、大人のび太が運転する車を、タケコプターで追いかけるところ
14年後の未来で、大人ののび太が運転する車を、子供のび太とドラえもんが追いかけるシーンは、のび太が初めてタケコプターで飛ぶシーンと同じ印象ですが、70年台の街と未来の街との対比として作られたシーンのように思います。
本当に細かく作りこまれていて、原作ファンなら思わずニヤッとしてしまう仕掛けが散りばめられています。
例えば
- GIANT MARKET
- 星野スミレディナーショー
- のび太の車のナンバーが0903
など。
GIANT MARKET
GIANT MARKETは未来の街で看板が何回か映っています。
詳細は謎ですが、ジャイアンの実家の剛田商店が発展したものでしょうか?
この時ジャイアンは24歳くらいなので、経営者としては若すぎますよね。
その後のシーンでジャイアンが、GIANT MARKETと書かれた服を着ていたので、店のユニフォームなのかもしれません。
星野スミレディナーショー
星野スミレの件は、未来的な電光掲示板みたいなやつに「星野スミレディナーショー」みたいな文面がちらっと出てきます。
星野スミレとは、ドラえもんの原作者の藤子F不二雄の別の作品「パーマン」に登場する、パーマン3号の正体。
星野スミレはドラえもんの原作にもちょくちょく登場しています。
原作では、20代くらいのアイドル/女優として描かれていますが、14年後の世界ではディナーショーを開催しているようです。
ディナーショーと言うと、ある程度貫禄の出てきた大物芸能人が行うイメージが有りますが、星野スミレもそんなふうに成長したってことですね。
のび太の車のナンバーが0903
のび太の車のナンバーが0903と言うのは、言わずと知れたドラえもんの誕生日9月3日が元ネタ。
作品中に何回か、一瞬だけ出てきます。
冒頭の、セワシとドラえもんがタイムマシンでやってくるところ
まず、タイムマシンのメカニカルな雰囲気がかっこいい。
これから何が始まるんだろう、と言うワクワク感がたまらないですね。
原作やアニメを見てても、ドラえもんの道具を「かっこいい」とはあまり思いませんが、この映画に出てくるドラえもんの道具は、なんかかっこいいですね。
「未来の道具」感がバシバシ伝わってきてテンション上がります。
14年後の世界はのび太達の街が激変している!
さて、この14年後の近未来の街並ですが、ざっと見て次のような特徴があります。
- 空飛ぶ車
- 立体的な街の構造
- 空中に映し出される看板や標識
- 荷物が空中のパイプラインで搬送される物流
- 古い建物が一切ない。
未来と聞いて、誰もが想像するような、いかにもな未来都市像ですが。
でも、設定ではたったの14年後ですよ。
14年でこの未来化は不自然です。
いまから14年前、2001年と2015年を比べてみても、ほとんど変わっていません。
スマートフォンの普及とか、そのへんはちょっと未来に近づいてる感じはしますが、町並みなんかはそれほど変わっていない。
のび太の子供時代の町並みは、本作品の監督である八木竜一氏、山崎貴氏の子供時代である1970年台を舞台としているそうです。
とすると、14年後というと、1985年~1995年辺り。
現実世界での1990年ごろはもちろん、2015年現在も、こんな未来都市にはなっていません。
古い建物が一切ないということは、そこに住んでいた住民や企業が一旦全て立ち退いて、立て直したということ。
あり得ないですね。
車も、タイヤの付いた車は一切なく、全て空飛ぶ車です。
仮に今、空飛ぶ車が発売されたとしても、14年で全ての車が空飛ぶやつに置き換わるとは思えません。
14年前の車なんて、街中を見れば幾らでも走っています。
この世界に何が起こったのかを妄想してみる
不自然だ、変だと言っていても始まらないので、こののび太の街に何があったのかを想像(妄想)してみます。
もちろん、この妄想には何の根拠もありません。
仮説1 全てが壊滅するような大災害があった
未来っぽい都市が登場する作品といえば、「エヴァンゲリオン」ですよね。
あれに登場する第3新東京市は、普通の民家もあったり、現代の面影がありますが、それでもかなりの未来都市感があると思います。
何しろ、地下の広大な空間にNERV本部があったり、地上のビルが中に埋まったり生えたりするんですよ。
すごい。
このハイテクな第3新東京ができた背景には、セカンドインパクトという大災害があり、それに伴う使徒の襲来に対抗するため、と言うやむを得ない事情があったからです。
人類の存亡がかかっている状況で、第3新東京の計画において、従来住んでいる住民の立ち退きなども比較的スムーズに進んだのではないかと思います。
話をドラえもんに戻しますが、エヴァンゲリオンで起こったような事情は特になさそうです。
もっと単純に、大地震で街がめちゃくちゃ、ほとんどの建物が倒壊し、復興によりああなったと言う可能性もあります。
でも、ほとんどの建物が新しくなっているという点は説明できても他に疑問点が出てきます。
街に大災害が起きた悲壮感はないし、いきなりあんな未来都市を作る技術は人類にはないはず。
大災害説はちょっとないかな、と思います。
仮説2 国が主体的に改革を推進した
では、政府主導で街を改革したというのはどうでしょう?
現在の街では、地球環境への負荷が高いので、自然環境に配慮した、省エネルギーでエコロジーな街に思い切って作り変える、と言う計画が持ち上がったのかもしれません。
未来都市の技術的な目処は、実はすでに確立されていて、後は思い切って街を作り変えるだけみたいな状況で、計画がいよいよ動き出したのです。
ちょっとずつ、ちまちまやってたら、計画の効果も半減してしまうので、一気に進める必要があります。
住民は、一時的によそに引っ越し、街が出来た時点でまた新しい住まいに戻ってくることになっています。
でも、こんな計画絶対に実現しませんよね。
頑固な住民の猛烈な反対が予想されます。
現実世界でも、ちょっと道を拡張するための立ち退きでも、なかなか事が進まないんですから。
政府主導説もちょっと厳しいかな。
仮説3 宇宙人がやって来て、こんなことになった。
さて、もっと話が飛躍して、宇宙人が攻めてきた、と言うのはどうでしょうか?
突如巨大宇宙船が東京、ニューヨーク、ロンドン、シドニー、ヨハネスブルグなどの世界各地の都市に同時に出現します。
宇宙人達はこう言います。
「我々は地球との平和的な交流、貿易を望んでいる。
しかし我々には瞬時に地球の文明を葬れるだけの力がある。
くれぐれも我々へ攻撃など考えないように」
と、圧倒的な武力をちらつかせながら、自分に有利な立場で交渉を進めていきます。
巨大宇宙船のイメージは、映画「第9地区」でヨハネスブルグ上空に現れるやつ、みたいな感じで。
宇宙人が地球に来た目的は、地球にしか存在しない貴重な資源が目当てかも知れませんし、友好的な関係を築いて、お互いの文明を発展させたいというのも本心かもしれません。
資源目当てと言うと映画「アバター」みたいな感じですね。
宇宙人にも、宇宙人なりの世論があるでしょうから、いきなり攻撃して奪うというのはちょっと考えられないでしょう。
さらに宇宙人は
「人類が今のペースでエネルギー消費を続ければ、近い将来枯渇することは目に見えている。
省エネルギーな都市を作る技術を地球に教えることが出来る。
条件としては、東京、ニューヨークなどの主要都市を、まずは我々の手による直接改革を行うこと。」
なんてことを言い出します。
エネルギーの枯渇により、地球の文明が滅びることは、宇宙人にとっても、あまり好ましい事態ではないということです。
そのため、主要都市を環境配慮型の都市へと変身させ、文明を延命することにしたのです。
主要都市以外は、技術を与えられた地球人自身の手によって変えていけばいいと考えています。
各国首脳が会議を行い出た結論は、宇宙人の要求を受け入れるということ。
拒否すれば、圧倒的な武力による攻撃を受けるかもしれない、と言う判断もあります。
それに、宇宙人の先進的な科学技術の一部を手に入れられる、と言うことも悪い条件ではありません。
住民の反対運動はもちろんありましたが、巨大宇宙船の圧倒的な姿に、人々は無謀だと徐々に悟り、運動は沈静化。
そんなわけで、のび太たちは宇宙人の用意した仮住まいへ一時退去し、その後新しく出来た住まいへと戻って行きました。
新しい住居は、以前のものより快適になることが保証されていたのも、住民が納得した理由の一つになっています。
のび太の家が公園になっているのも、宇宙人の都市計画によるもの。
しかし、東京以外の地方都市なんかはまだ、昔とあまり変わらない風景が広がっています。
新しく立てるビルなんかは、新技術による未来ビルとなりますが、全てが置き換わるのはまだまだ時間がかかります。
未来都市となった東京へは、従来型のタイヤのある車の乗り入れは規制されていて、空飛ぶ車がメインとなっています。
または、空中を走る道路など、立体的な構造の都市となっていて、作品中では地表付近はあまり描写されていません。
地表付近の道路には、従来型の車も通行しているのかもしれません。
ドラえもんの他の作品の中で、未来の世界では普通に宇宙と交流があります。
どこでもドア等のぶっ飛んだ科学技術も、100年後に普及して一般人でも使えるようになっている、と言うのは流石に無理があります。
宇宙人の技術が地球に流入したことにより、科学が爆発的な速度で進歩したと考えたほうが自然です。
もちろん宇宙人もすべての技術を与えたわけではありません。
「どこでもドア」的な瞬間移動技術も宇宙人は常用していますが、そのへんは地球人が自ら発明していかなければなりません。
宇宙人説にもちょっと矛盾が…
のび太の結婚前夜パーティーと称し、のび太、ジャイアン、スネオ、出木杉がジャイアンの家で酒を飲むシーンがあります。
外観は映っていませんが、内装は昔ながらの日本家屋のようです。
でも、窓から見える風景はやはり、高層ビルが立ち並ぶ未来都市。
一方、しずかちゃんの実家は、未来的なマンションの一室のような雰囲気。
ジャイアンの家だけ古いままと言うのは納得できません。
別の角度から攻めてみます。
ジャイアンの実家も未来的な建物になっているけど、内装のみあえて昭和の雰囲気を残していると言う可能性。
なぜそんなことをするかというと、ずばり「趣味」です。
そういう内装が好きだからそうする。
ジャイ子と同居していることから、この家はジャイアンが一人暮らししてるのではなく、実家と思われます。
ジャイアンの両親の趣味で、このような内装なのかもしれません。
まとめ
自分なりに納得できる設定を妄想してみましたが、いかがだったでしょうか。
映画の結末の後や、映画では描かれなかったストーリーを妄想することが時々あります。
そういう想像力をかき立てられる映画ってのは、私にとって良い映画なんだと思います。
その意味では、この「STAND BY ME ドラえもん」は非常に良い映画ですね。
世の中では、作中に登場するドラえもんの「成し遂げプログラム」に賛否両論あるみたいですが。
原作のリメイク的な本作ではなく、3DCG版オリジナルの長編映画も見てみたいですね。