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デュアルヘッド3Dプリンターのメリットとデメリットを徹底解説!おすすめ機種も紹介

   

FDM方式の3Dプリンターには、「デュアルヘッド」と呼ばれる3Dプリンターというタイプがあります。
デュアルヘッド3Dプリンターとは、2つのノズルを持ち、2種類のフィラメントを同時に使用できる3Dプリンターのこと。
この記事では、デュアルヘッド3Dプリンターのメリットとデメリット、種類と特徴を解説します。また、おすすめのデュアルヘッド3Dプリンターの機種も紹介します。

デュアルヘッドとはエクストルーダーが2つあること

3Dプリンターの「デュアルヘッド」は、「デュアルノズル」、「デュアルエクストルーダー」などと呼ばれることもありますが、同じものを指します。

細かい話をすれば、
「ノズル」は樹脂が出てくる先端部分、
「エクストルーダー」は材料(フィラメント)を押し出すモーター部分、
「ヘッド」はノズルやヒーター、ファン等を含めた可動する部分、
と微妙に意味合いは異なります。

とにかく、「デュアルヘッド」の3Dプリンターはエクストルーダーが2つあり、1つの造形物に対して2種類のフィラメントを同時に使うことができます。

似たような用語で「ホットエンド」もありますが、「ヘッド」と同義かと思います。

デュアルヘッドのメリット

2種類の樹脂を同時に使用できるデュアルヘッド3Dプリンターには、ざっと思いつくだけで下記のようなメリットがあります。

  • 水溶性のサポートを利用できる
  • 造形時間の短縮
  • 異なる素材や色を組み合わせたプリントが可能
  • シングルヘッドとして複数材料の使い分けも可能

通常のシングルヘッドの3Dプリンターには真似することの出来ない付加価値があるといえます。

水溶性のサポートを利用できる

一方のエクストルーダーからはPLA等通常の樹脂材料を、もう一方のエクストルーダーには水溶性のサポート材を使用することで、サポート除去の手間を軽減することが出来ます。

形状によっては、3Dプリント中のモデルを支えるためのサポート材を同時にプリントします。
シングルヘッドの3Dプリンターであれば、モデル(必要な形状)と同じ材料でサポートをプリントし、プリント後に手作業で除去する必要があります。
この作業は、入り組んでいるところにサポートがつくと除去が困難になります。

水溶性サポートはその名の通り、水につけたら溶ける材料です。
実際には完全に溶けてしまうわけではなく軟化して除去しやすくなる、と言ったものですが、プリント品を水にしばらく浸すことでサポート除去が簡単にできます。

造形時間の短縮

同じ形状やミラー形状の2つの部品をプリントする場合、デュアルヘッドなら2つのエクストルーダーで同時にプリントを進めることが出来ます。
単純にプリント時間が半分になるということですね。

「独立式」のデュアルヘッド機の場合、2つのエクストルーダーがX軸方向(横方向)に独立して動かすことが出来ます。
しかしY軸方向(前後方向)は2つのエクストルーダーで共通なため、同時プリント出来るのは、同一形状やミラー形状に限られます。

全く違う形状を同時にプリントすることは出来ないので注意が必要です。

異なる素材や色を組み合わせたプリントが可能

それぞれのエクストルーダーに違う色のフィラメントをセットし、一つの造形物を2色でプリントすることが出来ます。
他にも軟質樹脂と硬質樹脂を同時にプリントして、機能性の高い部品を作ることも出来ます。

シングルヘッドとして複数材料の使い分けも可能

デュアルヘッドだからといって、必ずしも2つのヘッド両方を使って造形する必要はありません。
片方のエクストルーダを使用せず、シングルヘッドとして使用することももちろん可能です。

デュアルヘッドの意味が薄れてしまいそうですが、一方はPLA、もう一方はABSなど違う素材や色をセットしておき、必要に応じてヘッドを使い分けることで、材料交換の手間を省くことが出来ます。

デュアルヘッドのデメリット

デュアルヘッド3Dプリンターは、シングルヘッドでは代用できないメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。
例えば以下のような。

  • 調整が難しい
  • トラブルが起きやすい
  • 価格が高い

調整が難しい

デュアルヘッド3Dプリンターは、2つのノズルの高さをぴったり合わせておかないと、プリント失敗となります。
シングルヘッドでは、ベッドの高さを調整すればOKですが、デュアルヘッド機は、2つのノズルの高さを合わせる必要があります。

2つのノズルはZ軸(高さ方向の移動)を共有しているため、ノズル高さに違いがあると正常にプリント出来ないためです。

トラブルが起きやすい

FDM方式の3Dプリンターの失敗例では、ノズル詰まりによるものが非常に多いです。
デュアルヘッド3Dプリンターは、2つあるノズルの一つでも詰まってしまうとプリント失敗となります。

そういった意味で、デュアルヘッド機はトラブルが起こる確率も2倍となる可能性があります。

価格が高い

デュアルヘッドの3Dプリンター自体が数が少ないのもあり、シングルヘッド機よりも高い価格となります。
現状、シングルヘッド3Dプリンターが3万円未満で買えますが、デュアルヘッドは安くても7万円以上するようです。

デュアルヘッド機の持つ付加価値がその価格に見合っていると感じれば、問題ないでしょう。

デュアルヘッドには2種類ある!独立式と固定式の違い

3Dプリンター本体の構造的な話になりますが、デュアルヘッドには以下の2種類あります。

  • 独立式
  • 固定式

私がこう呼んでいるだけで、名称は正式なものではないと思いますが、
独立型は2つのヘッドがそれぞれ独立してX軸(左右)方向に可動、
固定式は2つのヘッドがまとめて固定されていて、一定の位置関係を保ったままX軸方向に可動します。

独立式の方は、2つのヘッドを独立して動かすためX軸のステッピングモーターやベルトなどの駆動機構も2セット備えることになり、構造がやや複雑です。
Independent Dual EXtruder、略して「IDEX」とも呼ばれるようです。

固定式は、2つのヘッドの位置関係が一定なので、「ミラー部品を同時にプリント」と言ったことが出来ません。一方のノズルがプリント中は、もう一方のノズルは待機することになります。
サポート材の使用や、2色のフィラメントを使ってのプリントは可能です。

機種紹介

Creator Pro2 (FLASHFORGE)

デュアルヘッド形式 独立式
最大造形サイズ [mm] 200 × 148 × 150
参考価格 約10万円

FLASHFORGE製 Creator Pro2はエンクロージャーありの独立式のデュアルヘッドを備えています。
水溶性サポート、2色印刷、2部品同時印刷、ミラー部品同時印刷、等が可能。

エンクロージャーありなので、ABS等急激な冷えで収縮しやすい材料のプリントにも有利です。

Artist-D Pro (JG AURORA)

デュアルヘッド形式 独立式
最大造形サイズ [mm] 300 × 300 × 400
参考価格 約8万円

Artist-D Proはエンクロージャーのないオープンフレームタイプの、独立式デュアルヘッド3Dプリンターです。
プリントサイズを大きくしやすいオープンフレームのため、300mm × 300mm × 400mmと比較的大きな造形エリアを有しています。

JT28001 (J&T)

デュアルヘッド形式 固定式
最大造形サイズ [mm] 210 × 195 ×195
参考価格 約12万円

固定式ノデュアルヘッド3Dプリンターも紹介しておきましょう。
JT28001は固定式デュアルヘッドで、箱型のフレームとなっています。

固定式のデュアルヘッドなので、複数部品の同時プリントやミラー部品同時プリントは出来ないので、注意してください。

まとめ

デュアルヘッドは、シングルヘッドでは実現できないことが可能になります。
3Dプリンター最初の1台として選ぶのは少々敷居が高いかもしれませんが(挑戦したいなら全然アリですが)、2台目の3Dプリンターを検討するなら、ぜひデュアルヘッド機も候補に入れたいですね。

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