左手用トラックボールマウスは実は右利きの人にもおすすめだった
2022/08/02
この前の記事で右手用のトラックボール、ロジクールM570tが快適だと書きました。
しかし前々から気になっていた、(たぶん)世界で唯一の左手用のトラックボール、ELECOM(エレコム) M-XT4DRを購入したので、紹介したいと思います。
私は左利きなので、やっぱり左手用のトラックボールがすごく気になるわけです。
なお、このトラックボールは「左利き用」ではなく「左手用」です。
このトラックボールのメインターゲットは左利きの人と思いますが、右利きの人が使ってもメリットが大きいです。
詳しくは後ほど。
この記事の目次
M-XT4DRの使い心地レビュー
エレコムのM-XT4DRを買う前はロジクールのM570tと言う右手用トラックボールをメインに使用していました。
M570tは親指操作タイプのトラックボールの決定版で、とりあえずこれ買っとけば間違いないです。
M570tをしばらく使ってきた身として、M570tとの比較を交えながらM-XT4DRのレビューをしたいと思います。
ボールの動きの滑らかさは?
トラックボールの使用感の良し悪しを決める最大の要因はやはりボールの動きの滑らかさではないでしょうか。
トラックボールのアイデンティティであるボール操作のフィーリングが悪いと、使い続けるのが辛くなります。
M570tのボール操作は非常に滑らかで快適。
M-XT4DRを購入する時に唯一にして最大の心配は「ボール操作は滑らかなのかどうか?」です。
以前、サンワサプライのMA-TB38と言う人差し指操作タイプのトラックボールを使っていましたが、どうもボールの操作が快適ではありませんでした。
M570tに比べてボールがかなり大きいというのもあると思いますが、回転させる時に若干の抵抗がある感じで滑らかじゃなかったんです。
それもあり、M570tを買う時も「これは大丈夫なのかな?」と心配でした。
そして今回、M-XT4DRを買うときも、やっぱり「ボールが滑らかなのか?」は心配事の一つだったわけです。
しかし、結論から言うと、全く問題ありませんでした。
使い始めのときは、繊細な操作をしようとするとM570tに比べて少し引っかかるようなぎこちなさがありましたが、しばらくするとほとんど気にならなくなりました。
慣らし運転が終わったということでしょうか。
ボールを支える支持球はルビーとのことですが、M570tに比べてかなり大きく、なんか安心感があります。
大きい方がいいのかどうかは不明です。
裏技的なことですが、M570tの青い玉をM-XT4DRに入れると、よりスムーズになります。
本当に微妙な差ですが、ボール操作のストレスがちょっぴり軽減されます。
M570tの青球なんて持ってないよ、という人はエレコム純正の赤玉も販売されています。
私は使ったことないので分かりませんが、標準の黒玉と比べて操作フィーリングが劇的に改善するとかしないとか。
標準の黒玉はそこまで酷いものではないですが、気になる方はぜひ。
ポインタ(カーソル)のスピードの調整に関してはM570tが一枚上手か
ロジクールM570tもエレコムM-XT4DRも専用ソフトのインストールなしでも勝手にWindowsに認識されて普通に使うことが出来ますが、専用ソフトをインストールすれば各ボタンの割当やポインタ(カーソル)のスピードの調整が行えます。
しかしポインタスピードの調整に関してはM570tの方が一枚上手かなと感じました。
私の好みの設定は、ポインタスピードを遅めにして、「加速」を強めにするというもの。
例えば、ボールをゆっくり動かすとポインタが画面上を10cm動いたとします。
しかしボールを素早く動かすと、ボールの回転量が同じでもポインタが20cm動きます。
これが「加速」が効いた状態。
微妙な操作をする時はゆっくりボールを動かせばよく、画面の端まで一気に移動したい時は勢い良くボールを回せば瞬間移動出来るので非常に快適です。
M570tの専用設定ソフト「SetPoint」ではポインタのスピードの他に「ポインタの加速」の項目があり、
- なし
- 低い
- 普通
- 高い
の中から選ぶことが出来ます。
一方、M-XT4DRの場合は専用設定ソフト「マウスアシスタント5」でポインタ速度の変更はできますが、加速の設定は見当たりません。
なので、Windowsの場合は次のようにして加速の設定をする必要があります。
まず「コントロールパネル」 → 「マウス」をダブルクリックし「マウスのプロパティ」ダイアログを開きます。
「ポインターオプション」タブの「ポインターの精度を高める」にチェックを入れることにより加速が有効になります。
M570tのセットポイントと違って、加速の具合を調整することは出来ませんが、一応私はこれで快適に操作できるようになりました。
とは言え、M570tのように加速の具合を複数段階から選べるほうが、より好みの設定を見つけられると言えますね。
トラックボールって、ポインタスピードと加速の具合がしっくりこないと、途端に使いにくくなるように思います。
自分好みに調整するのは、普通のマウスよりも一手間かかります。
うまいこと調整して、左手でM-XT4DR、右手でM570tを交互に使っても違和感なく使えるようになりました。
M-XT4DRの握りごこちとデザイン
すごい手にフィットします。
手のひらから指全てが隙間なく覆いかぶさるような感じです。
そもそも左手用のマウスすら少ないこの世の中、よりマイナーなトラックボールでこのフィット感を味わえるなんて夢のようです。
M570tも右手にフィットする形ですが、M-XT4DRの方がフィット感が数段上だと思います。
デザインに関しては好き嫌いがあるでしょうけど、シャープな印象のするM-XT4DRはM570tよりかっこいいです。
M-XT4DRを見た後にM570tを見るとぼてっとして、あまりかっこよく思えなくなりました。
まあ、使用感が最重要なのでデザインなんて些細な問題ですが。
無線
無線レシーバー収納した状態。写真では写っていませんが電池部にフタが付きます。
M-XT4DRはM570tと同じく、専用のUSBレシーバーをPCに取り付けるタイプの無線方式です。
無線だから途切れたり操作が遅れて伝わったり、なんてことはありません。
M-XT4DRの右手バージョンにM-XT2DRがありますが、こちらは有線タイプのM-XT2URがラインアップされています。
左手で使いたい有線派の人にとっては残念ですが、私は無線のほうが便利なので良かったです。
底面のスイッチによりローエナジーモードとハイスピードモードの切り替えがでます。
ローエナジーモードのほうが省エネで電池が長持ちしますが、すごい速さでボールを操作した時に追従してくれないことがあります。
ハイスピードモードだとすごい速さの操作でもしっかり追従してくれる代わりに電池の保ちが悪くなるようです。
私はやっぱり、しっかりとついてきてくれないと嫌なのでハイスピードモード一択です。
【2018.09.27追記】
M-XT4DRを現在も愛用中ですが、一つ不満があります。
ごくまれに無線の接続がうまく行ってないのか、カーソルが動かない時があることです。
さっきまで動いてたのに急に動かなくなることも。
それと、電池の減りがM570tと比べて早いですね。
代替2ヶ月で電池切れします。
あ、一つじゃなくて二つの不満になってしまいました。
M570tは電池の持ちが良い上に、無線が途切れたりすることが一回もなく、抜群の安定感 & 安心感があります。
M-XT4DRも、この辺が改善されたら完璧なのに。
ボタンのカスタマイズ
ボタンに関しては、M570tに比べてM-XT4DRの方が数が多いので、単純に考えてカスタマイズ性が高いです。
左右クリックとホイール以外にM570tは2つのボタンしかありませんが、M-XT4DRは3つあります。
一見わかりにくいですが、右クリックボタンの隣の薬指のところもカスタマイズ可能なボタンとなっています。
さらにスライドスイッチにより、ポインタ速度を2段階に切り替えることが可能。
私は切り替えるのが面倒くさいので、切り替えませんけど。
チルトホイールが便利
通常のマウスのホイールは、回転させることにより画面を上下にのみスクロールさせることが出来ます。
M-XT4DRのホールはさらに高機能で、ホイールを左右に倒すことが出来るチルトホイールを搭載しています。
これはM570tにはない機能で、アリとナシでは、やっぱりアリのほうが便利ですね。
エクセルで「もう一つだけ右の列を見たい」みたいな状況で威力を発揮します。
チルトホイールがない普通のマウスだとスライドバーを操作するか、キーボードだとカーソルキーで選択セルを右端まで持っていく必要があります。
でもM-XT4DRのチルトホイールなら、ちょっと右のセルを確認してすぐに元に戻るということが手軽に出来る訳です。
便利!
M-XT4DRのデメリット
M-XT4DRと言うかトラックボール全般に言えることですが精密なポインタ操作は通常のマウスの方がやりやすいと感じます。
仕事で納期が短い中、トラックボールでCADを操作してましたが、疲れてくると狙った位置にカーソルを持っていくのが辛いことがありました。
CADの操作では、かなり細かいところを狙ってクリックする場面がありましたが、マウスのほうが狙ったところを素早くポインティングするのに優れています。
ただしマウスはしっかり持っていないとクリックした瞬間にカーソルが動いてしまうことがあります。
トラックボールはボールから指を離していれば、クリックの瞬間にずれることは絶対にないというメリットも。
M-XT4DRのパッケージ
使い心地とは関係ありませんが、M-XT4DRのパッケージはそっけない茶色ダンボール箱です。
どうやらWeb限定で販売されている商品のため、店頭に並べるためのキレイなパッケージは不要という判断のようです。
別に茶色ダンボールのパッケージがダメと言っているわけではなく、逆に私はこういうパッケージの方がぐっと来ます。
一般消費者向けではなく、ある種のプロ向けの商品はこういう素っ気ない包装形態を取ることが多いです。
企業から企業へ販売する商品とか特に。
パッケージに商品説明とか書かなくても、そんなの「分かっている」相手に売っているから不要なんです。
M-XT4DRのパッケージはなんかそういう雰囲気が感じられて、個人的には好感を持てます。
また、エレコムのWebサイトのトラックボール一覧のページを見ると右手用のM-XT2DRは載ってるけど、このM-XT4DRは見当たりません。
なぜ隠す?
売る気ないの?
エレコム ワイヤレスマウス トラックボール 左手用 6ボタン ブラック M-XT4DRBK
左手用トラックボールはデスク上にバランスよく配置できて疲労予防
前にも似たようなことを書きましたが、マウスやトラックボールは左手で扱ったほうがデスク上にバランスよく配置できると思います。
関連記事
15年以上マウスを左手で使っていたのを右手に持ち替えてみて気付いたこと
ホームポジションが体の正面になるようにキーボードを置くと、右に置いたマウスがだいぶ遠くなってしまうからです。
左にマウスを置けばキーボード ←→ マウスの移動が最小限の移動距離で可能になります。
右手用トラックボールM570tが遠くになるのが嫌だったので、キーボードのカーソルキー手前に置くという変則的な配置で乗り切っていました。
今回左手用のM-XT4DRをデスクに置いてみて、やっぱりバランスが良くて使いやすいと再認識しました。
体の姿勢も良くなって、疲労も予防できます。
あえて右利きの人におすすめしたい左手用トラックボールM-XT4DR
私のデスクは他人から見たら「この人何やってるの?」みたいな感じになってますが、これが右利きの人の場合、M-XT4DRとペンタブだけで完結します。
私のデスクと比べて右手用のM570tがない分、少しスッキリしますね。
右利きの人が羨ましいと思ったのは、生まれて初めてかもしれません。
なので、このエレコムM-XT4DRは左利きの人はもちろん、右利きの人にもぜひおすすめしたい商品となっています。
ペンタブレットを使わない人にとっても、トラックボールとキーボードをバランスよく置けますし、トラックボールを操作しながらペンでメモを取ったりも出来ます。
右利きが左手用トラックボールを使えるのか?と心配になりますよね?
私は左利きですが右手用トラックボールM570tに割とすぐ慣れることができました。
右利きの人が左手用トラックボールを使ってもすぐに慣れるんじゃないかな、と思います。
右手用M570tもやっぱり使う
メインのトラックボールがM-XT4DRとなったわけですが、M570tを使うのをやめるわけではありません。
私は時々ペンタブレットを使うんですが、PCが2画面あるのに対して、小さめのペンタブなもので1画面のみ操作できるように設定しています。
なのでペンタブ使用時もマウスなりトラックボールなりでもう1画面の操作ができないと不便。
しかし私は左利きなので、左手でペンタブのペンを持つと左手用のトラックボールM-XT4DRの操作が出来ません。
そこで活躍するのがM570t。
普段は左手でM-XT4DRを使い、ペンタブ時はM570tを使うと言う使い分けです。
それ以外の時も、気分や状況によって左右どちらでもトラックボールを使います。
デスク上はなかなかにカオスな状態ですが、便利なので気にしないことにします。
ちなみに上の写真は自宅ですが、会社でも同じようにトラックボール×2、ペンタブレットのフル装備で作業しています。
自宅、会社用にそれぞれトラボやペンタブを準備している、わけではありません。
なんと、これらを毎日会社に持っていっています。
トラックボール2台とペンタブを毎日持ち運ぶなんて面倒なことをしてるのは私くらいかもしれません。
我ながらどうかしていると思います。
でも私は一人しかいないのに、同じものをもう1セット買うというのもなんかもったいないですよね。
[2018.03.25追記]
現在、PC操作はほぼ完全にM-XT4DR一本になっています。
ペンタブ時はM570tがあると便利ですが、そもそもペンタブは「画像に手書きでメモをする」くらいの使い方しかしていないので使用頻度は高くありません。
邪魔なのでペンタブを使う時以外は片付けるようにしたら、M570tも別に使わないので一緒に片付けています。
結局左手トラックボールだけで事足りるんですよね。
最大の問題は将来の生産終了
M-XT4DRは素晴らしいんですが、ただひとつ心配なのが「生産終了」になること。
昔、左手用のコクヨ レフティマウスを使っていたんですが、長年使って買い換えようとしたら生産終了していて同じものが手に入らなかった経験があります。
M-XT4DRはまだ買ったばっかりですが、数年後には買い替える必要があるかもしれません。
その時に左手用トラックボールのラインアップが完全になくなってしまっていたら、さぞ悲しい思いをすることになるでしょう。
左利きの人口は10%程度とただでさえ少ないのに、左利きが全員左手でマウスを使うわけではありません。
私の周りに左利きが何人かいますが全員右手でマウスを使っています。
と言うことは、左手でマウスを使う人は全人口の1%くらいしかいないんじゃないでしょうか。
M-XT4DRは1%の人にしかアプローチできない商品となり、そんな圧倒的に売れそうにないものをよく作ったなと言うのが私の感想です。
そんなのを作っちゃうエレコムカッコイイ!
右手用のM-XT2DRより定価はちょっと高いですが、実売価格はほぼ同じ。
採算取れるのか、いらぬ心配をしてしまいます。
儲からない商品は普通はどんどんラインアップから外れてしまいますので、右利きの人もみんなこのM-XT4DRを使えば、左手用トラックボールのラインアップは安泰かも。
なんて思ったりしながらこの記事を書いています。
まとめ
右利き、左利き関係なくエレコムM-XT4DRは素晴らしいのでぜひ使ってみてください。
あとエレコムは、「あんま売れなくても左手用トラックボールのラインアップは絶やさない!」という男気のある企業だと信じています。
エレコム ワイヤレスマウス トラックボール 左手用 6ボタン ブラック M-XT4DRBK