牛革、コードバンのランドセルは親の自己満足で見栄っ張りなの?
ランドセルの素材と言えば、主流はクラリーノ等の人工皮革ですが、それより高い価格帯になると牛革、馬革(コードバン)が使用されています。
小学生が使うランドセルに、牛革やコードバン等の高級な天然皮革が必要なのでしょうか?
「牛革のランドセルが良い」って子供が言ったんじゃなくて、親が見栄張って牛革買ったんじゃないの?
…と、性格のひん曲がった私は見てしまいます。
というわけで今回は、人工皮革、天然皮革のランドセルを比べてみて、牛革のランドセルを買うというのはどういうことなのかを考えてみたいと思います。
牛革、コードバンのランドセルは丈夫!
一般的に牛革、コードバンはクラリーノなどの人工皮革より頑丈で丈夫だと言われています。
小学生の間、6年も使いますからね。
もちろん丈夫な方が良いですよね。
最近の人工皮革はどんどん改良されて丈夫になっていて、牛革と同じかむしろ強いくらい、と言う意見もありますが、やっぱりはるか昔から使われている素材である牛革の耐久性には定評があるというわけです。
耐久性が高いと言うのを第一に考えて、親が選んであげたというのなら納得です。
子供は、6年後にランドセルがどんな状態になってるかなんて想像もしないでしょうから、それを見越して牛革のランドセルを選ぶというのも親の愛情と言えます。
とは言え、人工皮革でも6年後に使用不可能なほどになることは稀だと思います。
「ちょっとボロくなってきたな…」程度で、そんなに気にしないのであれば人工皮革もありですね。
コードバンより牛革のほうが丈夫?
コードバンとは馬のお尻の革とのことで、牛革より希少で丈夫らしいですが、ほんとにそうなんですかね?
ランドセルのカタログを取り寄せた時に、メーカーによっては牛革やコードバンの素材サンプルが付いてましたが、コードバンに爪の先をギュッと押し付けたら跡が付いて消えませんでした。
ところが牛革にギュッてしても跡は付きませんでした。
うーん。
牛革のほうが丈夫なんじゃないの?
これだけで耐久性を判断することは出来ませんが、表面の硬さ(=傷の付きにくさ)という点では牛革の方が上かもしれません。
型くずれのしにくさ、という点ではなんとも言えませんが。
牛革、コードバンのランドセルは重い
牛革、コードバンのランドセルは重いです。
池田屋のカタログには人工皮革のクラリーノと牛革のサンプルが付いてましたが、厚みが全然違います。
クラリーノは1mmくらいですが、牛革は2mm弱くらいあります。
単純に牛革は厚いから重いのかもしれません。
厚くて重いから牛革は丈夫、という事でしょうか。
クラリーノやタフガードなどの人工皮革のランドセルは1100~1200gくらいが多く、軽いものだと990gなんてのもあります。
一方牛革のランドセルは1350g前後、コードバンは1400g以上が多いです。
人工皮革に比べて牛革は+100g、コードバンは+200gくらい。
中に入ってる教科書が数冊増えると、100gや200gくらいすぐ変わるので、ランドセル自体の重さの違いはどうってことないと捉えることも出来ます。
しかし、
重い = 子供への負担
です。
ランドセル自体の重さの影響は少ないと考えるか、重い荷物を入れるんだからランドセル自体はちょっとでも軽い方が良いと考えるか、あなたならどうしますか?
手入れが必要
最近のランドセルの牛革などは防水処理がされているので、雨で濡れた場合もすぐに拭いておけば問題はなさそうです。
それでも、牛革やコードバンは基本的には水に弱い素材です。
濡れたまま放置したりしたら傷んでしまいます。
クラリーノなどの人工皮革でも濡れたまま放っておくのは良くはないですが・・・
濡れたら拭く、と言う単純なことですが、子供がきちんと出来るのか?と言うことは頭の片隅に置いて選んだほうが良いかと思います。
防水、撥水処理がされているので、一般的な革製品のようにオイルを塗るなどのお手入れは必要ないとメーカーサイトに書かれているものもあります。
なので、天然皮革のランドセルだから手入れが面倒、ということもなさそうです。
ヌメ革など革の種類によっては、オイルを定期的に塗った方がいいものもありますので、購入の際にはしっかり確認してください。
基本的には牛革、コードバンだから極端に手間がかかるというわけではなさそうです。
風合い
牛革やコードバンのランドセルの魅力はなんといってもその風合いです。
使い込むほどに風合いが増し、まさに「革を育てる」という感覚です。
たしかにコードバンの手触りはスベスベしていて、触っていてものすごい気持ちいいです。
素材見本を触りながら「一生触ってられるわ」と思ったほど。
コードバンのランドセルの実物は見たことないですが、一度見ちゃうとクラリーノのランドセルがおもちゃに見えてしまうかもしれません。
・・・でも、当の本人の子供は(ほとんどの場合)風合いなんて全く気にしてませんから!
色とか形は見てますが、素材が何で風合いがどうのこうのなんて全然見てません。
それを見てるのは大人だけです。
牛革やコードバンのシンプルなデザインのランドセルじゃなくて、派手な装飾がついた人工皮革のランドセルを子供だったら選びがちです。
そんな中、牛革やコードバンのランドセルを買うということは、子供じゃなくて親が大人の目線で選んだという感じがしますね。
そうそう、牛革やコードバンのランドセルはクラリーノなどの人工皮革製と比べて、シンプルで落ち着いたデザインが多いです。
牛革とかにこだわる大人はごてごてした装飾は好きじゃない傾向があるのかもしれませんね。
子供が高学年になった時、ピンクのランドセルやごてごてした装飾のランドセルは、本人がだんだん恥ずかしくなってくるということがあるようです。
6年生になってお姫様みたいなキラキラしたランドセルはちょっときつい。
高学年になったときまで見越して、シンプルな牛革のランドセルを選んでおくと言うのも子供のためと言えます。
モノを見る目も育ってきて、品の良い革のランドセルを選んでくれたことに後々感謝される、かもしれません。
祖父母が買ってあげる場合も多い
今までランドセルを親が買う場合を想定していましたが、祖父母が孫にランドセルを買ってあげるというパターンも多いですね。
お盆の帰省時におじいちゃん、おばあちゃんに買わせるため、最近はランドセル商戦のメインが8月に早まってるとか。
メーカー側もうまいこと仕掛けますね。
祖父母が買う場合、親の見栄とはちょっと違って、孫に買ってあげるものだからちょっとでも良いものを、と選んだ結果かもしれません。
牛革、コードバンのランドセルは重いですが、そこにはおじいちゃん、おばあちゃんの思いが詰まっているのです。
あ、我ながらちょっと良いこと言った。
と言うかこれが言いたかっただけです。
高いって言っても、人工皮革のランドセルと同じくらいの場合も多い
ここまで、
人工皮革のランドセル = 安価
天然皮革のランドセル = 高価
と言う体で話を進めてきましたが、一概にそうとも言い切れない場合もあります。
ランドセル最大手のセイバンは「天使のはね」シリーズで有名ですが、ラインアップのほとんどが人工皮革のクラリーノで作られています。
そしてそのお値段は安いもので57,240円(税込)。
高い!
クラリーノでも7万円以上するランドセルもあります。
一方老舗のランドセル工房はどんな価格設定でしょうか?
各工房系のランドセルの中でも安価なモデルをピックアップしてみました。
メーカー | シリーズ | 価格(税込) |
---|---|---|
ランドセル工房生田 | Sofrema | 42,000円 |
ランドセル工房生田 | hana,Earth | 53,500円 |
土屋鞄製造所 | 牛革ベーシック | 64,000円 |
池田屋 | イタリア製防水牛革プレミアム | 62,640円 |
鞄工房山本 | アンティークブロンズ | 65,000円 |
ランドセル工房 生田のSofremaは部分的に人工皮革を使用していますが、そんな高くないですね。
天使のはねとかを見た後だと、これで4万円台前半なんてむしろ安く感じてしまいます。
このランドセルはコストパフォーマンスが高いので人気があるらしく、カラーによってはすでに完売しています。
「hana」、「Earth」も5万円台前半でそんなに高くない。
ちなみにセレクトオーダーとなっていて、ステッチの色や内装の柄、背中の色、フタの鋲のデザインを自分好みに事細かく変更可能。
(変更箇所が増えるほどお値段もアップしますが!)
人気のある土屋鞄や鞄工房 山本のランドセルも、人工皮革製の天使のはねとそんなに変わらないという印象。
だったら、天使のはね買うより、工房系の牛革ランドセルを買ったほうが得なんじゃない?と言う気持ちになってきます。
ちなみに天使のはねにも牛革モデルがあります。
カブセのみ牛革で本体がクラリーノの「モデルロイヤル レジオ ノーブル」は税込73,440円。
フル牛革の「HOMARE」は税込81,000円の高級品となっております。
他にも量販大手のイオンブランドで売られているランドセルの牛革モデル「プレミアム牛革」は税込75,600円と言う強気の価格設定。
天使のはねとかイオンは人工皮革製のランドセルをメインに取り扱っているので、牛革のランドセルを安くしすぎると人工皮革のランドセルが売れなくなるという事情があるのかもしれません。
戦略的価格設定?
そういうわけで、大手メーカー製の牛革ランドセルを買うくらいなら、工房製の牛革ランドセルを買ったほうがお買い得とも考えられます。
そもそも、高価なランドセル = 高品質とも限らないですからね。
普通は高いものは高品質ですが、値段の割に良くなかったとか、値段の割りに良かったと言うことはざらにあります。
人工皮革製で高価なランドセルを見ると、製造に必要なコストを計算するとその価格になったんじゃなくて、その値段でも買う人がいるからその値段にしてるんじゃないの?とか思ってしまいます。
特にニトリの2万円のランドセルを見ると、6万円のクラリーノはあれの3倍コストかけてるとも思えません。
実際のところどうなのかはメーカーのみ知ることでしょうけど…
まとめ
いろいろと調べているうちに、6万円くらいの牛革ランドセルは「あり」な気がしてきました。
6万円で「天使のはね」を買うのはなんか抵抗ありますが、ランドセル工房の牛革が6万円ならまあ良いかな、みたいな。
まあ私としては、2万円のニトリのでも良いんですけどね。
と言うわけで、牛革のランドセルを買う親は見栄っ張りと言うわけでもないと言う結論に至りました。
むしろお買い得で賢い選択かもしれません。