【視力回復】どれくらい遠くを見れば目を休められる?
なんとなく「近くばっかり見てると目に悪い」というイメージがありますよね。
目のためには遠くの緑を見ると良いみたいな話はよく聞きますが、窓から山なんか見えない人も多いかと思います。
目を休めるための「遠く」ってのは、本当に何キロも離れた山やビルじゃないといけないんでしょうか?
実は、目のピント調節機構を見てみると、そこまで遠くを見なくても大丈夫なことが分かります。
どれくらい離れたところを見れば目を休められるのか、検証してみたいと思います。
この記事の目次
近くばっかり見てると目が悪くなる?
「目が悪くなる」と言うと、裸眼で遠くが見えにくくなる「近視」指すかと思います。
実は、こんなに医学が発達した現代でも、近視になる細かいメカニズムは完全に解明されてないらしいです。
「近視になったらメガネかければいいじゃん」という風潮で、本気で研究している人が少ないんだとか。
でも、近くばっかり見てると目が悪くなるというのは、一応間違いなさそうです。
次のようなプロセスで近視になります。
まず、近くを見ると言う行為が目のピント調節機構にとってどのような状態かというと、眼球内の毛様体筋という筋肉に力を込めている(収縮している)状態です。
遠くを見るときは逆に毛様体筋が緩んだ状態ですが、近くばっかり見てると毛様体筋が緩みにくくなり、遠くが一時的に見にくくなる「仮性近視」となります。
その状態が長く続くと、眼球が伸びる「軸性近視」や、角膜の曲率が変わる「屈折性近視」と言う、治らないタイプの近視に進行すると考えられています。
遠くの風景や星を見ると近視の予防や仮性近視が回復する
近視の予防や仮性近視の回復に有効と言われているのが「遠くを見る」ことです。
近くを見すぎて凝り固まった毛様体筋を緩めてリセットするイメージ。
遠くを見る時は、毛様体筋を使ってない状態なので、実は目にとっては一番楽してる状態なんです。
近視の人は裸眼で遠くにピントが合わないので、近くを見るほうが楽に感じますけどね。
近視の予防や仮性近視が回復可能性があると言っても、「軸性近視」等の進行してしまった本当の近視が回復するわけではなさそうです。
目を休める事が出来るので、無意味ではありませんが。
そうそう遠くを見れないときもある
でも、星や遠くの風景を見ろって言われても、そうそう見れない状況もありますよね。
部屋の窓から見えるのは隣のビルの壁だったり、窓がスリガラスだったら開けなきゃ見れないし、そもそも部屋に窓がないかもしれません。
わざわざ外に出て遠くを見よう!なんて決めても、多分三日坊主で終わります。(私の場合は)
もう、目が悪くなるしかないんでしょうか。
案外遠くを見なくてもいいかもしれない
でもその「遠く」っていうのは、本当にはるか彼方の星や遠くの山やビルじゃないといけないんでしょうか?
ひょっとしてもっと近くでも良かったりして?
そう、実は思ったよりも近くでも目の毛様体筋にとっては「遠く」である可能性が高いんです。
「遠点」を測定することでどこからが「遠く」かが分かる
どこからが「遠く」なのかは、人によって違うので、一律に「何mから先が「遠く」です」とは言いにくいです。
そこで、自分の目にとってどこからが「遠く」なのかを知るために、「遠点」を測定します。
測定方法は簡単です。
例えば壁のカレンダーの前に立ち、文字がはっきりと見えるピントのあった状態から少しずつ後ろに下がります。
近視の人はそのうち文字がぼやけ始めると思いますが、その時の目からカレンダーまでの距離を測ります。
あくまで「ぼやけ始めた距離」を測るのであって、「文字が読めるかどうか」ではないのでご注意ください。
この距離が「遠点」。
目のピントが合う最大距離です。
視力が良い人(正視)や近視でも適切な度のメガネを着用している場合は、遠点は無限大となります。
つまり、どれだけ離れてもピントが合っていてぼやけないってことですね。
そのうち文字が小さくなって読めなくなるとは思いますが。
逆にどれだけ近くまで見れるかを測ったのが「近点」となります。
今回のテーマではこの数字は気にしなくてもいいですが、興味のある人は測ってみてください。
もう分かったかもしれませんが、この「遠点」より遠いところは目の毛様体筋にとって「遠く」ということが出来ます。
遠点を見ているときの毛様体筋はフルに弛緩している状態、つまり調節力が使われていない状態ということです。
遠点より遠くを見ても、毛様体筋の状態は変わりません。
強い近視の人にとっては裸眼で30cm先も「遠く」である
私も実際に「遠点」と、ついでに「近点」を測ってみました。
左 | 37.5cm | 11.5cm |
---|---|---|
右 | 30cm | 10.5cm |
左のほうが若干遠くまで見れる = 視力が良い、ですが、だいたい0.1ぐらいの視力です。
改めて測ってみると、自分の目のピントが合う範囲が30cmもないことに驚きます。
もっと強い近視の人、例えばメガネレンズの度数が-6.0Dくらいだと、計算上16cmより遠くには裸眼ではピントが合わないことになります。
そんな人達にとっては、裸眼で部屋の中を眺めているだけで充分「遠く」を見ていることになり、毛様体筋を休めることが出来ます。
目のいい人の「遠く」はどれくらい?
近視の人は裸眼で室内のそのへんを眺めとけばいいというのは分かりましたが、じゃあ目がいい人は?
コンタクトレンズで頻繁に付けたり外したり出来ない場合は?
遠くの星にもピントが合わせられる人は、部屋の中を眺めても毛様体筋を少し使ってしまう可能性が高いです。
でもまあ、ざっくり3~4mより離れたところを見れば充分「遠く」と言えるんじゃないでしょうか。
詳しくはディオプトリーの計算をしてみると分かります。
ディオプトリーの計算式
レンズの度数を表すのが「ディオプトリー(ジオプトリー)」。
メガネやコンタクトレンズに「-3.25D」とか書いてるのを見たことあるかもしれません。
それがディオプトリーです。
計算式は「D=1÷焦点距離(メートル)」ですが、それよりも下の表を見たほうがわかりやすいです。
ディオプトリー(D) | 焦点距離(m) |
---|---|
0.25 | 4 |
0.5 | 2 |
0.75 | 1.33 |
1 | 1 |
1.25 | 0.8 |
1.5 | 0.67 |
1.75 | 0.57 |
2 | 0.5 |
2.5 | 0.4 |
3 | 0.33 |
3.5 | 0.29 |
4 | 0.25 |
5 | 0.2 |
6 | 0.17 |
7 | 0.14 |
8 | 0.13 |
9 | 0.11 |
10 | 0.1 |
ディオプトリーは毛様体筋の調節力を表すのにも使われます。
例えば視力が良い正視の人が無限遠を見たとき調節力を使っていない、つまり0.00Dの調節力を使っていると表現できます。
その人が1mの距離を見たとき、上の表に当てはめると「1.00D」の調節力を、25cm(0.25m)の手元を見た時は4.00Dの調節力を使っていることになります。
次にその人が3mの距離を見たとき、0.33Dほどのごく弱い調節力しか使ってないことになります。
なので、目がいい人は3mも離れたところを見れば充分「遠く」と言えます。
調節力を完全に0.00Dにしたければ、ほぼ無限遠と言っても差し支えのない夜空の星とか遠くの山を見る必要がありますけれど。
遠視の人は遠くを見ても毛様体筋を休められない!
じゃあ、遠視の人はどうなる?
遠視の人は、残念ながら裸眼で夜空の星を見ても調節力が0.00Dになりません。
遠視の目の調節力が0.00Dになったとき、ピントは無限遠よりも向こうにあるので、星を見るときでも調節力を使わないといけません。
では遠視の人の目が休まるときはないのかと言うと、きちんと調節された遠視用のメガネを掛けていると、無限遠を見た時に調節力が0.00Dになり、毛様体筋を休めることが出来ます。
近視の人が目の疲れを感じたとき、メガネやコンタクトを外したくなりますが、遠視の人はメガネを外すと余計に目が疲れてしまうわけですね。
遠視って、なかなか大変そうです。
寄り目になる問題は残っている
これまでの説明で、強い近視の人は裸眼で30cm先を見ても夜空の星を見ても毛様体筋の状態は同じということが分かったかとおもいます。
でも一つだけ、決定的に違うことがあります。
そう、星を見るときに比べて30cm先を見る時は寄り目になるんですね。
寄り目になるのが目の疲れや視力の悪化にどのような影響があるかははっきりと分かりません。
でも、あんまり目に良いことはないような気がするんですよね。
まとめ
目(毛様体筋)を休めたいときは、
- 強い近視の人は裸眼で30cmより遠く
- 視力のいい人や、メガネやコンタクトを付けたままでは3mより遠く
- 可能ならば遠くの山やビルや星
を見ましょう。